これらは僕の趣味嗜好であり、志向するライフスタイルに通じる部分がある要素であり、このブログでも一部紹介してはいるが、僕は都会でのサスティナビリティを意識した生活を実践しつつ、本や雑誌、テレビやWEBなどで情報をインプットするようにもしている。
これらのどれかに共感するところがある人には、今まで見た中で良かった本をいくつかアカデミックな物からマンガまで少し幅を持って紹介しようと思う。
仮に、そこに書いてある知識をそのまま使えなくても、そこからイメージが広がって新しいアイデアが生まれるので、インプットすることはとても重要だ。
知識をインプットすることについては、こちらの書評の本がオススメなので、興味があればぜひ。
さて、今回は本や雑誌の中で、ライフハックの観点は当然あるのだが、それプラス読んでて面白いものにフォーカスしてみた。ジャンルの中ではけっこうメジャーなものもあるので釈迦に説法かも知れないが、ここで何か発見があればとてもうれしい。
ライフスタイル系(農的な暮らし)
都会からはじまる新しい生き方のデザイン|ソーヤー海
共生革命家を名乗るソーヤー海がパーマカルチャーの観点でコンポストやオフグリッドの太陽光発電、農園、マインドフルネスなど様々な事例を紹介している一冊。環境に配慮した生活をしたいが、どうすれば良いか悩んでいる人はぜひ。
最初、作者の肩書きからして、なんかやばいヤツなんじゃないか?と思ってしまうが、専門知識がなくても、事例や写真から分かりやすく説明してくれて情報の幅も広いのでおもしろい。
なお、ノリがLove&Peaceな感じでやや思想的な部分があって、正直そういう部分は僕はあまり好まないが、それを差し引いても読んでいて面白いし、発見感もある。
僕はお金を使わずに生きることにした |マーク・ボイル
農場の中にコンテナハウスを作り、食糧を自然から調達したり、自分で生産しながら、都市の一見ゴミにされてしまうようなものも活用している。
タイトル的には、変な人が衝動的に始めたような感じもするが、根っこはお金というものが社会に及ぼしている影響に問題意識を持っていて、しっかりした哲学に根ざしている。
ここまでの徹底した生活をするのはちょっと・・・だが、考え方やお金を使わないですむ具体的なテクニックなどを知ることができるので読んでいてタメになるし、普段あまり考えない切り口が飛び込んでくる感じが面白い。
シティー・ファーマー|ジェ二ファー・コックラル=キング
農業=田舎というイメージが、ありがちだが都市で実践されている都市農業をいくつかの都市を事例に紹介している一冊。
食糧問題や農業問題などを起点にしているので、ある程度の知識や高い問題意識を持っている人かサンフランシスコやトロント、キューバなどの本書で出てくる都市に興味がある人にはおすすめ。
また、ただ都市で農業が実施されているということだけではなく、そこから地域でのコミュニケーションが形成されているという点に踏み込んで書かれているのが興味深い。
200万都市が有機野菜で自給できるわけ |吉田太郎
先述のシティーファーマーのような内容に興味があって、特にサスティナビリティに興味がある人におすすめの一冊。
キューバは、ソ連が崩壊した際に石油を始めとした様々な物資の輸入がストップし、深刻な食糧危機に直面した。その時に、国家レベルで技術の開発や市民への指導・啓発などが組織的に実施し、市民の農業への参加を奨励し、現代社会の都市では異質ともいえる都市農業が確立された。
そんなキューバの都市農業の仕組みが詳しくレポートされていて、都市農業という側面からチェ・ゲバラやフィデル・カストロの思想の断片が垣間見れるのは興味深い。(別に、僕は社会主義者ではないが。)
週末は田舎くらし-ゼロからはじめた「二居住生活」|馬場未織
千葉の南房総に家を購入し、平日は東京、週末は南房総で田舎暮らしをしているいわゆるデュアルライフにフォーカスした一冊。
田舎暮らしについても書かれているが、そこに至った経緯や地域の人との関わり方などにも触れており、良くも悪くもただ田舎暮らし最高!というテイストの一冊ではない。
ただ、田舎暮らしをしている人のリアルな視点で描かれている分、よりポジティブな部分に説得力があるので、結果より田舎暮らしって良いな〜と思えるし、都会から離れるのではなく行き来しちゃえば良いんだ〜と思わせてくれる一冊。
ただ、僕には家を2件も持つ財力はない。
以前書いた、この本の書評はこちら↓
江戸に学ぶエコ生活術|アズビー・ブラウン
江戸時代の暮らしや都市の仕組みは、究極のエコシステムだったと言われることがあるが、その内容を網羅的に分かりやすく解説している本はありそうでなかなか無い。
そう感じた外国人の著者が、江戸時代の庶民のエコな生活を絵も交えて分かりやすく解説してくれているのとてもありがたい本。特に江戸時代の農村での暮らしが、いかに物や資源を無駄なく活用していたのかを山と畑のエコシステムや道具や日用品などのパーツの再利用など古文書から具体的な事例を紹介してくれる。
江戸時代の農村に住む人達の暮らしを垣間見ることが出来る一冊。
狩猟系
ぼくは猟師になった|千松 信也
狩猟ブームのきっかけを作った京都の猟師が、なぜ猟師になったのかという経緯から実際の狩猟生活を紹介している一冊。
狩猟の仕方(罠猟)や獲物など狩猟全般を分かりやすく解説しているほか、猟師のシンプルなライフスタイルや野生動物との向き合い方など著者の内面にも言及しており、比較的読みやすいが、読み応えのある一冊。
2020年に映画化もされた。
ちなみに、次の著書のけもの道の歩き方も読んだ。こちらも面白いが、先にぼくは猟師になったを読んでからの方が読みやすいし、面白いと思う。
山賊ダイアリー|岡本 健太郎
岡山在住の猟師である作者が、狩猟での日常を描いたエッセイ漫画。
シカやイノシシだけでなく、キジやカラスなどの鳥類の狩猟から、解体や調理して食すまでの生活や、猟師仲間との関係など、まさに山賊ダイアリーのタイトルどおり、猟師の日記ともいえる作品。
特に、派手さはないが、猟師がどのような生活をしているのかを分かりやすく伝えてくれる。狩猟の醍醐味や実際に食べた後の獲物の味だけでなく、猟師の実態や大変さ、危険さなども伝わってくるが、読んでいるとなんだか狩猟をやりたくなってくる。
発酵系
発酵文化人類学-微生物から見た社会のカタチ|小倉 ヒラク
ただの発酵の本だったら気にしなかったかもしれないが、微生物から見た社会のカタチという副題が気になって買ってしまった一冊。
発酵文化人類学者んを名乗る著者が、人類の歴史=発酵の歴史と言っても過言ではないと豪語し、発酵の楽しさを伝えてくれる一冊。
発酵に関する広く体系的な知識というよりは、著者の主観での発酵の話が展開されていくのだが、中国と日本の菌の違いによる発酵文化や発酵食の味覚特性が異なる話がとくに面白かった。
発酵食品が苦手な人でも、読んでいておもしろいと思う。
もやしもん by 石川 雅之
菌が見える主人公 沢木惣右衛門直保と菌たちを中心に、「農大で菌とウイルスとすこしばかりの人間が右往左往する物語」。
文字通り、農大で菌を中心に発酵(日本酒の話が多い)や農の話題が出つつ、主人公の周りの人達がわちゃわちゃしているのが、楽しい作品。作中では菌がしゃべるのだが、見た目が可愛いのに、口が悪いのがいい感じ。
個人的なオススメは、農大での沢木の先輩の美里と川浜。この二人がかなり良い味を出していて、かなり笑える。(アニメ版だとよりおもしろい)
美里のモデルは笑い飯の西田で、実写版では本人が美里役を演じている。
ちなみに、「君の名は」の中で口噛み酒が登場するが、実はその10年以上も前にもやしもんで口噛み酒は登場している。なので、口噛み酒の話題が出たときに、「君の名」で出てたやつでしょ?と聞かれると、僕はイラッとする。