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地球の温暖化とは? vol.4 温暖化で何が起きるのか? | 知識ゼロからの環境問題

温暖化vol.4

地球温暖化問題という言葉はよく聞くけれども、どんな問題なのか?なぜ起きているのか?という部分を数回に分けて掘り下げていくシリーズ。

vol.1の投稿では、温暖化問題の主要因である温室効果ガスというものにフォーカス。

vol.2ではどのような歴史的な背景があるのかにフォーカス。

vol.3では、温室効果ガスの排出と吸収の炭素収支にフォーカスしました。

そして、今回は最近世間でも言われているいわゆる1.5℃問題のように、温暖化が進むことによって、どのような影響があると考えられているのかについて、書いていきたいと思います。

前提:気温上昇のレベル感で影響は大きく異なる

普通に考えれば、当然の話ですが温暖化による影響は、気温上昇のレベル感によって、大きく変化します。気温上昇が小さければ影響は少ないし、気温上昇が大きければ影響は当然大きくなります。

その気温上昇を1.5℃以内に抑えると、その影響がある程度抑えられる(逆に抑えられないと、壊滅的な影響を受けかねない)とIPCCの報告書で言及され、国連総会の場でトランプ大統領を睨みつけた少女の影響もあり、そのことが大きく取り上げられることになりました。

IPCCの組織についてはこちら。

※本投稿は、わかりやすくする為にIPCCの第5次報告書(AR5)をかみ砕いてポイントを絞っています。例え話については、内容を受けて僕がアレンジして書いています。細かい内容について知りたい方は、原文訳をお読みください。

 

温暖化で想定される気候変動の事象

気候の両極化

乾燥地帯

元々、乾燥している地域では降水量が減少し、逆に湿潤な地域では降水量が増加します。

そのため、乾燥している地域はより乾燥化し、雨の多い地域ではより多くの雨が降り湿潤化するという、気候の両極化が進みます。

また、気象自体の極端化も進むと考えられており、地域によって極端な降水や干ばつなどが増加すると言われています。

 

海水温と海面水位の上昇

海面上昇

 

気温上昇や人類が排出している熱を吸収していること(現在進行形)によって、海水温の上昇がより進むと考えられています。

上述の海水温の上昇による海水の膨張や南極などの陸上の氷河が融解することで、海面水位が上昇する可能性が高まります。

海面上昇については、こちらの記事でまとめているので参考まで。

 

雪、氷の減少

雪、氷の減少

気温上昇によって、海氷(北極海の氷など)や氷河(南極など)の減少や積雪の減少が起こります。

世界的には、氷河(特に南極やグリーンランド)が溶けることによって海面上昇のリスク増加やさらなる温暖化を誘発するリスクが指摘されています。

また、局地的には、アルピニストの野口健さんが良く警鐘を鳴らしているように、氷河湖の決壊による洪水リスクなどが懸念されます。

こちらのナショナルジオグラフィックの記事に氷河湖について包括的に書かれているので、ご参考まで。

ヒマラヤで急増する氷河湖、悪夢をもたらす

固有性が高いシステムの崩壊

特定の温度帯、気象条件などの限定的な条件下で成立しているような生態系システムは、温暖化による強い影響を受けます。

例えば、シリアにあるソコトラ島には竜血樹(Dracaena cinnabari Balf.f.)という希少な植物が自生しています。この竜血樹は、ソコトラ島で発生する霧を葉で結露させてその水滴を下に落とすことで根が水分を吸収できるという生態を持っています。

そのため、温暖化による気候変動で霧の発生に影響が出ると、竜血樹も大きな影響を受けます。

日本では、北海道にある大雪山の高山植物などが該当します。大雪山には、標高の違い、風のあたり方、雪の量などの違いによって、多くの高山植物が分布しています。

ちょっとしか環境条件の違いで多様な分布をしているので、裏を返すと環境変化に対して脆弱なため、温暖化による影響を繊細に受け取ってしまいます。

陸の生態系への危害

温暖化によって、地域によっては現在の生息地が動物や植物にとって適切な環境でなくなることによって、動植物の生息地の分布も移動(北上)します。

しかし、全ての動植物が気候の変化に合わせて同じスピードで生息地を移動できる訳ではありません。特に、植物は動物と比較して移動するスピードが遅いため、結果的に環境変化に適応できずに多くの動物や植物が影響を受けるリスクがあると言われています。

 

ヒトへの影響

災害の増加

洪水被害

2019年に起きた台風15、19号のような大型の台風被害などの災害が増加します。

19年の台風を体感した方は感覚的に分かるように、一回あたりの災害の被害が大きくなり、さらにその頻度が増えるため、生活被害のリスクを超えて、生命の危険を感じるような状況になっていきます。

台風が増加するメカニズムについては、こちら。

 

森林火災

森林火災

上述のように、気候が極端化すると乾燥地域の中でより乾燥化するようなエリアが出てきます。そのようなエリアでは、山火事の発生や人のタバコや焚き火などから、一気に延焼して大規模な火災となってしまいます。

最近では、オーストラリアでの大規模な森林火災が象徴的な事象です。

淡水資源リスク

淡水資源リスク

温暖化による気候変動や異常気象によって、降水や降雪などの変動が起こることによって、シーズナルに水不足や逆に洪水などの被害が出ることが懸念されます。

また、アフリカ中央部や南部、中東、地中海沿岸の地域などの乾燥地帯や乾燥亜熱帯地域では、降水量の減少によって、河川水量、地下水資源が減少するなど淡水資源へのリスクが生じることが指摘されています。

 

食料生産リスク

前述のような気候の極端化によって、天候不順や水リスクなどが食料生産へ影響することが考えられます。

具体的には、降水量が減ることでの水不足によるもの、台風などの災害被害によって農業がダメージを受ける規模や頻度が増加することが懸念されています。

 

まとめ

環境問題の解説は小難しい

この記事では、複雑な構造を細かく理解することよりも、温暖化でざっくりどんなことが起こるのかをある程度簡略化して紹介しました。

温暖化による影響は多岐にわたり、かつ因果関係や仕組みは複雑です。A → Bのようなわかりやすい関係ではなく、A → BにもCにも影響を与える一方で、AとBは相互に影響があったりするため、今日でも研究分野で明らかになっていない部分が多いです。

そのため、そこを正確に伝えようとすればするほど、説明は長くなり、言葉は難しいものになってしまいます。

そんなこともあり、一般の人向けに環境問題や温暖化を分かりやすく解説されている情報があまりないというのが、僕がブログで環境問題の解説をしている理由です。

ネットで出ている情報などはだいたい温暖化だとこんなことが起きますという部分まではあるのですが、なんで?というクエスチョンが出た時に、基礎科学や自然科学を学んでいない人には難しい書き方をされているものばかりです。このブログで多少そのギャップが緩和されると良いなと思っています。

 

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