家庭の身近なCO2排出量を知る。 | 環境問題をわかりやすく解説

このブログでは環境問題の中で、温暖化問題を中心に解説してきました。

今回は、日本の特に私たち一般市民に近い家庭の二酸化炭素(CO2)の排出について、取り上げたいと思います。

日本のCO2排出量とトレンド

日本のCO2排出のポイント
  • 日本の年間CO2排出量は、約11億t(世界全体の約3.4%)
  • ここ数年の排出量は、削減傾向

日本は、CO2の年間排出量では、中国、アメリカ、インド、ロシアに続いて、世界で5番目に多くCO2を排出している国です。 かつては、温暖化問題において京都議定書を主導するなど積極的な立場でしたが、東日本大震災以降は原発の再稼働問題などから火力発電所を積極的に使っており、また経済的な取り組みで火力発電所を輸出を試みていたことから、現在は国際的な批判を受けています。

co2排出量の推移

出典)温室効果ガスインベントリオフィス
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

トレンドを見ていくと、近年は削減の傾向になっています。これは省エネ化と原発の再稼働が関与していると考えられます。(原発の再稼働の良し悪しは別として。)

約10年前の2008年、2009年にもCO2の排出量が大きく削減している時期があり、これはリーマンショック後の景気悪化によって、産業界のエネルギーの消費が落ち込んだことと原発の利用率の向上による効率化とされています。その後、東日本大震災による原発の稼働停止による火力発電の増加とアベノミクスによって企業活動が活発になったことで排出が増加し、そこから近年のトレンドへなっていきます。

この流れを見ても分かるように、日本のCO2の排出は、電力の要素が大きく、消費に加えて、発電方法も大きく影響していると言えます。

MEMO:人口減少の影響は?

人口減少は、確実に影響はあります。ただ、人口減の割合は年率で0.2〜0.3%ほどの減少→一人当たりの排出量が同じであれば、年率で0.数%ほどなので不要因ではありません。ただ、長期スパンでは人口減少の要素が大きくなってきます。

部門別のCO2排出量

日本の部門別排出量

部門別の排出のポイント
  • 家庭は15%程度。
  • 各部門削減傾向→運輸部門の削減率は低め

CO2の排出量を部門別に見ていくと、産業部門、運輸部門、業務その他部門などビジネスに関連する部門の排出が大きなウェイトを占めています。次に家庭部門(約15%)が続きます。

近年は各部門も概ねダウントレンドになっています。ただ、部門ごとでの濃淡はあり、産業部門や家庭部門は削減率が高く、運輸部門は削減

これは、原発の再稼働と部門ごとの需要の問題が影響していると考えられます。

産業部門や家庭部門は、電力消費が関係してくるため、原発の再稼働によるCO2の削減を影響を受けやすい。一方、運輸部門はまだEV化は進んでいないため、原発再稼働があまり影響しません。

また、企業の配送などの物流網に加えて、Amazonを始めとしたECの市場は現在も成長しているため、そこに伴って運輸部門の需要も拡大していることが影響していると考えられます。

MEMO:グラフ中の間接排出量とは?

電力で例えると、実際に消費しているのは一般家庭でも、排出されるのは電気が作り出される時なので直接CO2を排出しているのは発電所ということになります。(直接排出量)

しかし、一般家庭などの電力需要が要因で発生する排出なので、間接的にCO2を排出しています。そのため、用途や実態を把握する時には間接排出量を指標に使います。

家庭のCO2排出(一人あたり)

ここから、我々一般市民が大きく関係している家庭部門の排出を見てきましょう。

エネルギー種別に見ていくと、家庭部門の排出で大きな割合をしめるのは、まず圧倒的に電力です。約半分を占め、これは普段の私たちの生活と電力の関係から考えても想像がつくと思います。

次にガソリンが1/4を占め、ガスや灯油、廃棄物と続きます。

今度は用途別に見ていくと、一番大きいのは照明や電化製品にかかるものです。これは、冷蔵庫やテレビ、PCなどの家電全般も含まれます。

一つに項目としては自動車が大きく、その次に冷・暖房、給湯といったものが続きます。。

全体としては、削減傾向のトレンドになっている中で廃棄物は増加傾向にあります。省エネなどで全体的にCO2排出は削減傾向にあるものの、捨てられる物、ひいてはその前にある消費行動に関してはあまり変わっていないということでしょう。

着目するポイント

車について考える

車は必要か?
  • 車が本当に必要なのか?
  • 買い換えのタイミングでEVに切り換える。

最初に考えることとしては、車が生活に必要かどうか?ということです。環境負荷以外の観点でも、駐車場代や維持費などのランニングコストもかかります。例えば、東京のように電車やバスのインフラが整っている

田舎の車社会に住んでいる人にとっては生活に必要なものではありますが、買い替えのタイミングでEVにすることによって要所を抑えつつ、排出を削減することができます。(現状は、EVの値段は高いですが。)

消費電力・ガスを抑える

電力のチェックポイント
  • 冷蔵庫の設定
  • 冷暖房の使い方

家電製品に中で、最も消費電力が大きいと言われているのが冷蔵庫です。例えば、夏以外の季節は温度設定を弱にするだけでも、電気代の節約→CO2排出削減になります。

冷蔵庫の節電については、こちらのサイトがわかりやすかったので、ご参考に。

家電Watch

冷暖房については、年間ベースで見るとさほど消費が大きくないように見えます。しかし、使われる時期が限定されるためで、時間あたりの消費電力は大きいです。

そのため、冷房はクーラーだけでなく、扇風機を併用したり、暖房は効率の良いオイルヒーターやこたつを使う、寒さが厳しい地域では薪ストーブの導入を検討するなどによって、エネルギーの消費を抑えることに繋がります。

消費電力内訳

出典:資源エネルギー庁平成22年度省エネルギー政策分析調査事業「家庭におけるエネルギー消費実態について」

今後について

近年の海洋プラスティック問題に端を発するプラスティックへの問題意識や2019年の国連総会の一件(僕は肯定的な立場ではないが)などから、実際に消費者行動やビジネスへの取り組みが変わったのかは、今後のデータで見えてくると思います。

特に、2020年は新型コロナウイルスの影響でStay Homeで過ごす人が増え、半ば強制的に社会活動の多くが縮小・停止に追い込まれたことで、社会全体や産業関係に由来するCO2の削減量は間違いなく、減少するでしょう。

一方で、家庭に関するエネルギーの消費やCO2排出量は増加するのは容易に想像ができ、自宅から出てくるゴミの量が増えたり、光熱費が上がったりなど、より自分の身の回りにある生活の中で気づくことが増えると思います。

エネルギーだけでなく、断捨離など、このタイミングで一度自分の生活のあり方を考えて見ると、より日常が豊かになるかもしれません。

 

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