グリーンカーテンが暑さ対策に有効な理由とは? | 知識ゼロからの環境問題

最近、一般家庭でも徐々に普及しているグリーンカーテン。

うちでもここ5年くらい夏場の暑さ対策で作っていますが、

なぜクリーンカーテンを作ると暑さ対策になるのでしょうか?

この部分を説明していきます。

 

暑くなる理由と対策

そもそも室内が暑くなる理由には、2つのポイントがあります。

1つは、日差しが直接あたることでの温度上昇によるもの。もう1つが、室内に外から熱が伝わることでの温度上昇です。

日差しの影響(熱放射)

1つは、直射日光によって室内が暖められるというもの。これはイメージ通りだと思います。

防ぐには言わずもがな、日差しが室内に当たらないようにするかが当然重要ですが、その日差しを部屋の中か外どちらのポイントで防ぐかが非常に重要なポイントです。

部屋の外で日差しを防ぐのが重要

日差しを防ぐ最も一般的なものは、カーテンだと思います。最近は遮光カーテンなど機能も向上していますが、カーテンの場合、付けている場所が室内ということが日差しを防ぐ上で弱点になってしまいます。

というのも、カーテンによって部屋の窓際で日差しが入ることは防げますが、カーテンと窓ガラスの間に日差しが当たり、その空間にある空気が暖められてしまい、そこから室内の気温が上がってしまいます。

そのため、いかに部屋の外で日差しを防ぐかということがまず最重要な課題といえます。

外から伝わる熱(熱伝導)

つぎにもう1つは、部屋の中への日差しを防いだとしても建物の壁や窓などの温度が高くなることで、そこからの熱が室内に伝わることで

特にコンクリートは、熱を蓄積しやすい性質を持つので、夜でも熱を発してます。そのため、コンクリートの建物が密集している都会は、寝苦しい熱帯夜になりやすくなります。(ヒートアイランド現象)

そのため、日差しを防ぐことの次に、室内に隣接している場所の温度上昇をどう防ぐかというのも暑さ対策にとって重要になります。

ちなみに、ヒートアイランド現象については、こちらにまとめているので参考まで。

グリーンカーテンの効果

グリーンカーテンは、葉が直射日光を防ぎつつ、蒸散によってグリーンカーテン自体の温度が上がりにくいという特徴を持っています。

 

室内に入る光を遮断

窓の外側にグリーンカーテンがあると、葉やつるが太陽光を遮断してくれるので室内の温度上昇を防いでくれます。すだれやヨシズと同じような効果です。

ここでポイントなのは、部屋の外で光を遮断してくれること。

カーテン(特に遮光カーテン)などは室内で光を遮断してくれますが、外で光を遮断しないとカーテンと窓の間の空気が太陽光で暖められてしまうため、部屋の温度も上昇しやすくなります。

そのため、グリーンカーテンのように部屋の外で光を遮断することで、高い効果を発揮してくれます。

 

蒸散の冷却効果

植物は、土中の水分を根から茎、葉に送り込み、葉から水分が蒸発して排出されていきます。水分を蒸発させ、周りの熱を奪わせて大気中に放射させることで、植物は葉の周りの温度上昇を抑えています。

よく暑さ対策で行う打ち水も原理としては同じで、まいた水が水蒸気になる際に地面や周りの熱を奪いながら大気に放射されます。

この蒸散による効果のおかげで、グリーンカーテンのまわりは温度が上がらないため、熱を室内に伝えにくくしてくれます。

植物がある場所がなぜ涼しいのかについては、こちらで説明しているので、参考まで。

 

収穫 / 花を楽しめる

植物を育てることの楽しさを味わえるのが、グリーンカーテンの最大のメリットだと思います。

単純に収穫が出来る、あるいは花を鑑賞できるという農的・園芸的な楽しさと、さらには暑さ対策にもなるという一石二鳥感の面白さがグリーンカーテンと他の暑さ対策との違いだと思います。

 

当然、デメリットもある

場所を取る

プランターをおく必要があるので、ベランダのようなスペースに置く場合、エアコンの室外機との距離や洗濯物との関係を想定しておく必要があります。

虫が来やすくなる

上層階に住んでいる人の場合は、そこまでかもしれませんが、植物である以上、虫は寄ってきやすくなるという宿命とは向き合わないといけませんね。

かくいう僕もグリーンカーテンを使ってはいますが、あまり虫は得意ではありません。

雑考:CO2削減効果はあるけど、CO2吸収効果はほぼない

少し脇道の話題を。

屋上緑化やグリーンカーテンの話がでたときに、グリーンカーテンがCO2を吸収して温暖化問題に貢献するという類の話が出てきたりすることがあります。

正確には嘘と言えなくもないですが、極めて過剰な誇張表現なので気を付けましょう!

というのも、グリーンカーテンを設置することで夏場のクーラーの使用が減ることで、電力消費の削減⇒CO2排出削減という場合は合っています。

しかし、グリーンカーテン自体がCO2を吸収してくれて温暖化対策になるという表現は、適切ではありません。

理由は、だいたいグリーンカーテンで育てるものは1年草が多いので、冬には枯れて、捨ててゴミとして焼却されたりするので、そのときに吸収していたCO2は大気に放出されてチャラになります。

植物の炭素固定について、別のエントリーにまとめているので興味ある方は参考まで。

仮に枯れた植物をそのままの状態で保管するという非常に意識の高い人がいたとすると、確かにCO2を吸収していますが、グリーンカーテンで吸収されるCO2はごくわずかです。

家のグリーンカーテンの葉、茎、値などの重さが、かなり大きめのグリーンカーテンで40kgほどです。ざっくり、二酸化炭素量は約20%程度とすると、CO2吸収量は8kg。日本の一人あたりのCO2排出量はだいたい10t前後なので、その0.08%ほどです。

イメージ的には、グリーンカーテンでゴーヤを作った人が、声高らかに世界の食料問題に貢献したと周りに宣言しているような感じだと思います。

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