【分かりやすく解説】オーストラリアで大規模な森林火災がなぜ起きたのか? | 知識ゼロからの環境問題

オーストラリアの森林火災

2019年から2020年の前半までの長期間発生したオーストラリアでの大規模な森林火災。

僕もニュースなどで情報は見ていたものの、2020年になってから新型コロナウイルスの方に世の中の情報も僕自身の意識も行ってしまい、最終的にどうなったのかということを認識していなかった。

そもそもの発生した要因や背景などを調べたので、山火事のメカニズムも含めて、かみ砕いて書いていきたいと思います。

オーストラリアの森林火災の概要

2019年6月頃から火災が発生し始め、9月頃にいろんな地域で火災が多発し始め、翌年の2020年2月頃に記録的な豪雨による降水によって鎮火・消火されるまで、火災の被害に遭った面積は1,860万haという日本の国土(約3,779万ha)の約50%に相当する広大な地域で死者89名という甚大な被害をもたらしました。また、動物にも大きな被害を与え、30億匹ともいわれる動物が死亡しました。

その火災の凄まじさは、地球の裏側の南米大陸でこの森林火災の煙が観測されたという事実をもってしてもその片鱗をうかがい知ることができます。

山火事自体は、オーストラリアでは毎年のように発生しています。過去20年間では火災の被害でオーストラリアの森林面積の約1%/年程(それでも多いが。。)が、影響を受けています。しかし、今回の森林火災では、その被害規模は桁違いでオーストラリアの森林面積の約20%といわれる広大な森林が焼失しました。

その歴史的な森林火災は、結果的には歴史的な豪雨によって火災が抑えられた側面はありますが、最近日本でも頻発しているように1日で1ヶ月の降水量に相当するような大雨が降ったことによって、洪水被害など火災以外での災害も発生しました。

一般的な山火事発生のメカニズム

山火事は、大きく自然発火によるもの、人為的な要因によるものに分けられます。

自然発火は、主に落雷や噴火したマグマによる発火などによる物が多いです。人為的なものについては、火のついたタバコのポイ捨てや焚き火、野焼きや焼き畑の不始末などが主です。

自然発火による森林火災は、成熟した樹木の世代交代を促し、多様な森林の状態を保つ上で必要な一つの自然のシステムといえます。オーストラリアでもユーカリの中には、山火事によって高温になることで、種子が発芽するようになっている種があり、山火事は必要な物ではあります。似たような事例では、アメリカのイエローストーン国立公園でもカラマツは山火事によって発芽するため、山火事があることで森林が更新されてくことから、通常自然に山火事が発生した場合には人が手をつけないようにしてきました。

しかし、人為的な火災が発生するようになり、本来の自然のシステムは違うシチュエーションでの火災によって自然に被害が出たり、森林火災をコントロールする必要性が発生しました。また、気候変動による影響などで極端な乾燥など異常気象によって、大規模な火災が発生しやすくするような注意すべき背景が生まれています。

原因は、乾燥・高温・強風

高温・乾燥・強風

今回の山火事の被害を大きくした要因として考えられるのが、乾燥・高温・強風の3つの要素だと考えられています。

19年〜20年にかけては、異常気象(これからはこれが定常なのかもしれないが)によって、降雨が少なく、広域で乾燥していたことがあげられます。言うまでもなく、乾燥していると火がつきやすく、燃えやすいため、山火事を誘発する大きな要因といえます。

併せて、高温であったことも山火事を発生しやすくなる要因といえます。熱波によって、山火事が発生することや温度自体が高いことで火がついた時に燃えやすくなるためです。

さらに、強風が山火事の被害を拡大させた要因だと、考えられています。発生した山火事の火が、風に煽られることで飛び火し、そこでさらに燃え広がることで、被害を急拡大させてしまいます。

これらの3要素が重なったことで、未曾有の被害を巻き起こしたと考えられています。

人為的な要素も背景に

牧草地帯

                                             Daniel Anthony  / Unsplash

直接的な引き金となったのは、乾燥・高温・強風の3要素によるものだと考えられますが、その下地として森林管理の観点での人為的な要因があると考えられています。

オーストラリアは、もともとは先住民のアボリジニが住んでいましたが、18世紀にイギリスに植民化され、多くの白人が入植してきました。その入植した西洋人が、オーストラリアの森林を無計画に伐採し、ユーカリなどの油分

また、牧草用に持ち込まれたアフリカ原産のガンバグラスの侵食も背景の一つと考えられます。ガンバグラスは、乾燥に強い・繁殖力が強いなど牧草としての利便性が評価されてオーストラリアに持ち込まれましたが、その繁殖力によってまたたく間に分布を広げ、在来の植物を駆逐し、住宅地域にまで広がっていました。

そして、成長力が高く、高さ数mまで成長することや燃えやすいという性質が、オーストラリアのサバンナの条件と最悪の相性を発揮してしまい、山火事は起きると一気に燃焼して住宅地域まで火を広げ、また高い部分まで燃焼することで、低地での火災であれば生き残る樹木まで燃やしてしまうことで、森林を壊滅させてしまいました。

 

日本の山火事について

山火事

あまりイメージはありませんが、日本でも毎年山火事は発生しています。

件数では1,000件以上、焼損面積は数百〜千haほどです。オーストラリアに比べると、乾燥や高温など極端な気候条件ではないことから、被害の規模は小さいですが、これからはより注意をしていく必要があります。

気候変動によって、夏場のゲリラ豪雨や大規模な台風被害が起こりやすくなったように、逆に冬は従来よりもより乾燥しやすくなる地域が出てくるという懸念があります。

乾燥しやすくなると、上述のように山火事が発生しやすくなり、一般の日本人は山火事に対する意識があまりないため、タバコの火や焚き火などの要因で山火事が発生するというような事態が増加することも考えられます。

自分で書きながら、普段から気をつけてはいるものの、屋外で火を使うときはホントに気をつけようと改めて肝に命じました。。。

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