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なぜ、植物や作物を育てるのに肥料(養分)が必要なのか?を分かりやすく解説。

なぜ植物に肥料は必要なのか

自然界では、人間から肥料をもらっているわけではないのに植物が育っているのに、なぜ畑などには肥料が必要なのか?

素朴ではありますが、意外とその理由や仕組みを知らないままということがあったります。そこで、今回は植物と肥料の関係について、書いていきたいと思います。

養分は収穫によって持ち出される

収穫 = 養分の持ち出し

なぜ畑の作物を育てるには肥料が必要なのか?

その理由のポイントは、農作物の収穫による養分の持ち出しにあります。

農業で作物を収穫すると、それはその土地からその作物に含まれる養分も一緒にその土地から持ち出されていきます。その収穫物の養分を私達が栄養として摂取しています。そのため、土地に養分を補給せずに収穫を続けていくと、次第にその土地の養分が少なくなっていき、地力(収穫量)が低下します。

そのため、土地から持ち出された養分の代わりに肥料によって養分を供給する必要があります。

植物に必要な養分

植物の成長には、「三大要素」と言われる窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)が特に重要だと言われ、肥料な主な成分です。

ヒトでいう五大栄養素のようなイメージが近いと思います。

窒素(N)

チッ素

窒素は、身体の組織のベースとなるタンパク質を作るのに必要な元素で、植物だけでなく、人間にとっても重要な元素です。

大気中に含まれる割合が最も高いのですが、植物は呼吸や光合成によって大気中の窒素を吸収することはできません。そのため、植物は土壌の窒素を吸収することでタンパク質を作っています。これは、ヒトが肉や大豆などからタンパク質を摂取しているのと同じようなイメージです。

例外的に、マメ科の植物は窒素固定する根粒菌と共生していることで窒素が供給されるため、窒素の補給をあまり必要としません。(豆を作物として収穫すると、養分を持ち出してしまいますが。)

リン(P)

リン酸

リンは、植物が花を咲かせたり、実を付けたりするのに必要な元素です。

窒素や後述するカリウムが、落ち葉など比較的肥料として調達が容易であるのに対して、リンは自然界ではなかなか供給されず、一節では地球上の生物の量はリンによって決まるとも言われている重要な養分です。

昔の日本では、人間の糞尿や小魚を畑の肥料にすることで畑にリンを供給していました。

リンの化学肥料は、太古の生物の死骸や海鳥のフンなどが鉱物化したリン鉱石と言われる鉱物から作られています。太平洋の南西部にあるナウルという島国は、このリン鉱石によって世界一裕福な国と言われましたが、資源の枯渇や放漫な国家運営で財政が危機に陥ったという有名な話があります。

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カリウム(K)

カリウム

カリウムは、植物の根や茎の成長を促進したり、病気や害虫、寒さなどへの抵抗力をつけるために必要な元素です。

カリウムは、草木灰などから供給することができます。

焼き畑農業は、灰による土壌の酸性度(ph)の調整などの土壌改良以外に、草木灰に含まれるカリウムなどの養分を土壌に供給する役割も持っています。

その他

その他の養分には、ざっくりとまとめておきます。家庭菜園をするレベルであれば、そこまで気にする必要はないと思いますが、知識として知っておくと良いと思います。

  • カルシウム:根の成長、植物の細胞と細胞を結びつける

→卵の殻など

  • マグネシウム:葉緑素(光合成の働きに重要)の構成要素
  • 硫黄:植物の内部での生理作用(酸化・還元など)に影響

有機肥料と化学肥料

有機肥料とは、油粕や魚粉、鶏糞など、植物性または動物性の有機物(炭素を含む化合物*)を原料にした肥料のことです。これに対し、鉱物などの無機物を原料として、化学的方法により製造された肥料を化学肥料といいます。

*一部例外があるものの、ほとんどが有機物=炭素を含む化合物と言えます

有機肥料と化学肥料は、それぞれの特徴や作られるまでのプロセスなどが異なります。

有機肥料

有機肥料の特徴
  • 持続性◯
  • 土壌改良などにも使える
  • 発酵・熟成に時間がかかる

 

江戸時代は都市部の糞尿を回収し、発酵・熟成させて農村部で肥料にしていました。

日本農業史

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化学肥料

化学肥料の特徴
  • 即効性◯
  • 土壌改良効果はない

化学肥料は、リン鉱石のように生物の死骸などが長い時間をかけて鉱物化したものを採掘し、工業的に製造されたものです。

石油や石炭の肥料版というとイメージしやすいかと思います。

産業革命で人類が、石炭や石油を使うことで、莫大なエネルギーを手に入れて科学や工業が飛躍的に進歩して、大量生産・大量消費の時代が訪れたように、化学肥料が作られるようになったことで、即効性の高い肥料を畑に供給できることによって農業生産は飛躍的に向上しました。

しかし、一方で土壌が劣化するなど中長期的な土地利用の観点では問題や窒素肥料の水質汚染の問題があったり、石油などの化石燃料と同様に資源の枯渇の問題が指摘されていたりと化学肥料には多くの問題が付きまとわっています。

 

まとめ

植物や野菜を育てる=肥料が必要。

あまりにもこの図式が一般常識となってしまっていますが、なんでそうなんだろう?ということを少し掘り下げて、その仕組みを知ると、今の社会のシステムは違った視点でいろんなことが見えてくると思います。

僕はそう考えるようになって、日常的に周りにある物の多くが活用されていないだけで肥料になり得るのだということが分かるし、自分の生活とどう結びつくかということを考えて行くのは、環境を意識するという部分だけでなく、自分の好奇心を刺激して、普段の日常を楽しむことにも繋がっていきました。

そんな知ることを楽しむキッカケになれば、嬉しいです。

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