退職時に「有給休暇を全部使い切る!」ためにやっておいた方が良いこと

退職届を出す前に

数年ほど前に、僕は10年弱勤めていた大企業を辞めた。

理由は、キャリアに対する価値観の相違・・・。というか会社に対して見切りをつけたからなのだが、直感的に辞めると決めて先なども決めずに辞めることにした。

とりあえず、ゆっくりしようと思っていたので、使える休暇をMAXで使ってから辞めようと思い、40日あった有給休暇を使ってから退職した。実質、2ヶ月ほど働かずに給料が出ている状態だった。

おそらく、今この時も会社を辞めようか悩んでいる人がたくさんいるだろうし、その中には転職をせずにとりあえずゆっくりしたいと思っている人もいると思う。

そこで、そんな人のために退職届を出す前に、僕のパターンの時にやっておいて良かったことと反省の意味も含めて、やっておけば良かったことをまとめて見たので紹介していきたい。

最初に必要な心構え

会社は人ではなく、機関。人情などない。

基本的に会社という組織は非常に冷たいところだと改めて認識しておく方が良い。

多くの場合は退職届を出した後は会社の対応は極めてドライだ。おそらく、色々と親身に対応してくれる優しい人もいると思うが、それはその人が優しいのであって、会社が優しい訳ではない。

そういう腹積もりでいた方が、後々の退職の手続きにおいて自分が譲歩したり、不利益を被ることを回避しやすくなる。

有給休暇は絶対に取れるものだと認識しておく

有給休暇は、法律で保証されている休暇なので、日本が法治国家でなくならない限りは、絶対に取れる。

まず、心構えとして、この前提に立っておく必要がある。有給を全部使って辞めれてラッキーではなく、当然に保証されている当たり前の権利なのだ。

同調圧力に弱く、社畜気質な人の多い日本では退職時にこのことが軽視されがちだが、そもそも取得できて当たり前のことなのだ。

退職日までの戦略(ロードマップ)を作る

文字にすると仰々しくなるが、自分に有利な状況での退職ロードを歩むためには、会社に対して意思表示をする前に、あらかじめ準備をしておいた方が良いということ。

多くの場合は何かきっかけになることがあって辞めることがあるため、逸る気持ちもあって、会社との交渉時に会社の慣例や空気感で丸め込まれて、本当はもっと休暇を取得できるはずなのに、取得せずの退職したという人が僕の周りにもけっこういる。

だいたいの人は、転職するパターンが多いため、転職先への内定が決まった段階で入社日があらあら決まっていて、そこまでの日数−引き継ぎ日数=取れる休みというパターンになることが多く、その結果有給を捨ててしまうケースが多い。

そのため、有給をフルに使って退職したい人は、おおまかで良いので、転職先から内定をもらった段階であらかじめ退職までの間に有給を全部取得するスケジュールを作っておいた方が良い。

フリーになる場合は、あまり退職日の日程をきにする必要がないと思うので、引き継ぎ日程を確保しつつ、フルで権利を行使した上で退職するというスケジュールを組みやすい。

転職の場合でも、やめる前の引き継ぎに時間がかかる、今やってるプロジェクトの目処が立つところまでなどの理由をつければ1ヶ月〜2ヶ月くらいは調整できるはずなので、内定をもらうタイミングですでにスケジュールが引いてある状態にしておくことが望ましい。

僕の知っている人の場合だと、内定→入社日を設定(あんまり日数がない)→そのスケジュールありきで退職について会社と相談→有給をフルで使い切れない。ということになりがちなので、あらかじめ有給をフルに消化する前提でスケジュールを組んで置くことをオススメする。

法律や就業規則を把握しておく

法律と就業規則の関係・構造

労働におけるルールでは、優先度・スケールから法令>労働協約>就業規則>個別の雇用契約という順になっている。

まず、最優先で守られる物として、法令(労働基準法)があり、労働協約や就業規則はこの法令を守る前提で作られる。そのため、労働基準法に反するルールを作ることは出来ない。

有給休暇の場合、有給休暇は法律で保証されている労働者の権利であるため、退職時に残っている有給休暇は絶対に取得出来るし、もし会社のルール的に無理だと言ってきてもそんな言い分やルールは違法となる。

次に強いのが、労働協約。労働協約は、会社と労働組合で結んでいる約束事で、法律の範囲内での就業時間や休日の日数などを取り決めしている。

就業規則は、会社における法律のようなもの。例えば、退職するときに退職日(退職を希望する日)から何日前までに会社に退職届を出さなければいけないなどの会社ごとのルールが定められている。

そのため、有給などの法律で保証されている権利を会社のルールで否定することはできないという前提をちゃんと理解しておこう。もし、取得自体に四の五の言ってくるようでがあれば、法律で保証されている旨をちゃんと明言した上で、労働局にこのことを言えば会社側がアウトなので、よほど性根が腐っているような場合でなければ、だいたいこの時点で日和るのでちゃんと理論武装をしておこう。

会社の就業規則を読んでおこう

まず、これは基本中の基本。就業規則は会社のルールなので、退職の際にも就業規則の範囲の中で行動する必要がある。

会社の就業規則には、退職を申し出る場合には、退職日の何日前までに退職届を出さないといけないと行った内容が書かれていることが多い。例えば、3 月末に退職しようと思っている場合には、2月末は退職届けを出しておく必要がある。この部分については、就業規則に合意した上で会社に在籍しているという雇用契約なのでちゃんと守らなくてはいけない。(法律上は14日前までに申し出れば、就業規則の方が差し止められることもあるが、トラブルの種になるので、基本的には就業規則には従った方が良い。)

また、休暇の制度や退職金の仕組みなど、自分の権利として受け取ることができるものについて、把握しておくことが重要。特に、運用・適用する基準がきちんと書いてあるのかを確認しておこう。

というのも、例えば退職届けを提出したあとで、実際に会社と退職に向けた手続きを行っていく過程で、会社は必ずしも法律や規則の内容とイコールの対応をする訳ではない。

そのため、当然通るべき主張であると100:0で勝てる状態にしておくには、こちらのロジックの拠り所を法律と就業規則にしておく必要があるからだ。

正直、就業規則は小難しい言葉で長ったらしいので読む気が失せるがここは我慢。よく分からなければ、労働組合の人に聞くのが良いと思う。

ルールと慣例・慣習を仕分けておこう

退職のときに泣き寝入りになってしまいがちな理由が、このルールと慣例のギャップにある。

簡単に言うと、ルールには書かれていないけれども過去の退職者の慣例をこちらに要求してくるパターンが多く、あたかもその慣例をルールのようなスタンスで臨んでくることがあるからだ。

それによって、今までの退職者のスケジュール感を当てはめようとして、結果的に有給の権利を全て使えないといったことも起こりうる。

それを回避するには、ルールと慣例の違いを把握した上で、ルールに立脚してそこを起点に相談する必要がある。なので、法律の権利に加えて、就業規則を把握しておく必要がある。

法律や就業規則を把握しておく

有給休暇とそれ以外の休暇日数を分けて把握しておく

なぜ、有給休暇とそれ以外の休暇を分けて把握する必要があるのか?

それは有給休暇が法律で権利を保証された休暇であるのに対して、他の休暇は会社独自に設定されているものだからだ。

前述のように、有給休暇は確実に取ることが出来る。一方で、会社独自の休日の場合は取得に関しての裁量を会社が持っている場合が多い。

そのため、退職の意思表示をする前に、退職すると言ったことで会社の態度が変わり取得する権利があるのに取得できなくなるリスクがあるのかを事前に把握しておいた方が良い。

有給以外の休暇は、退職届を出す前に取得したほうが良い

有給休暇以外の会社が独自に設定しているような休暇の権利が残っている場合、基本的には会社退職の

就業規則に明確な運用基準がある場合は良いが、おそらくそこまで厳格では場合が多く、上司や人事部などが最終的な取得の裁量権を持っているパターンが多い。

そのため、こちらが退職意思を持っていることが相手に分かっていると、その裁量で持って本来取れるはずの休暇を取れなくなったりする。

これは、僕が会社を辞める時に会社独自の休暇を1週間取得する権利が合ったのだが、会社の規定に明確な運用基準がなかったため、会社の裁量によって取得できなかったという苦い経験による反省からだ。

その他にやっておいた方が良いこと

退職時の有給休暇とは、直接関係はないが今後のことを踏まえて、やっておいた方が良いこと(やっておいて良かったこと)を書いておきます。

自分が受けている複利厚生を確認しておく

これは、特に住宅補助などはポイントで、退職した後には当然会社の複利厚生を受けることが出来なくなる場合があるため、あらかじめ把握しておく方が良い。

特に住宅と書いたのは、社宅や寮の場合は当然退職に伴って退居が必要になるが、借家でも契約内容によっては家賃補助などの何らかの会社からの補助を受けているようなケースだと、場合によって想定外の退居、引っ越しが必要になるからだ。

その借家の契約の契約者が自分であれば大丈夫だが、会社の制度によっては会社の名義で借りているという場合もある。多くは、名義を会社から自分に変更すれば大丈夫だが、転職ではない場合だと所属先がないため、大家や不動産屋によってはそれが出来ないというケースも有りうるので、一応契約内容は確認しておいた方が良い。

仮に、引っ越しの必要がなかったとしても、会社からの補助がなくなった分の家賃が退職後の家計を直撃してくる。僕の場合は、家賃の半額が会社補助だったのと退職から1年間は何もせずのんびりすると決めていて、(都内のそこそこ良いとこだったので)流石に倍の家賃を払うのはアレなので、退職と合わせて引っ越した。

2ヶ月間有給を取得出来たので、ゆっくりと物件探しと引っ越しが完了して、退職日にはすっきりと次の生活にシフトチェンジできた。

まとめ

この記事では、自分の権利を正当に行使することを重視し、会社と円満退社を優先事項にはおいてはいない。なぜなら、あくまで自分の当たり前の権利をしっかり行使することを最優先に考えた時に、円満に退社出来るかのボールは会社にあるからだ。

ただ、”自分の権利を主張する=会社と対立する”ということではなく、自分の譲れないラインや円満でありつつも行使するべきものは行使させてもらうためには、事前準備をしておく方がその確率が上がるということだ。

書いてある内容はどれも基本的なことなのだが、退職ということで浮き足立って、色々な確認を失念するということはけっこう起こりうる。

特に、僕のように転職せずに、とりあえず辞めると決めた人は何らかのきっかけがあってからの退職の場合が多いため、感情的、衝動に駆られている可能性があるので、一度冷静になろう。仮に、自分が冷静だと思っていたとしても、一度足を止めて、確認すべきことを確認し、狡猾に骨をしゃぶり尽くすつもりで自分の権利を行使しよう。

その先には、自由という草原と自己責任という荒波が待っているのだから。

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